ソイルセメント用分散剤 レオフローA-1000
レオフローとは?
原位置地盤にセメントスラリーを注入し、撹拌混合する地盤改良(固化)工法が盛んとなり、施工方法も年々高度化しております。特にソイルセメント柱列壁工法においては、施工時の掘削性やH形鋼の建て込み性向上、発生する泥土量の削減が強く要望されております。また、シールド工事で発生した泥土をセメントなどの固化材と混練し、インバート部打設に利用し、施工現場内で再利用する工法が広く用いられてきています。しかし、対象土の粘性により製造されるソイルセメントの流動性が低下し、ポンプ圧送性や建て込み性が悪化することがあります。
ライオン株式会社では、これらの諸問題を解決すべく、ソイルセメント用分散剤「レオフローA-1000」を開発いたしました。大量の泥土が発生するソイルセメント柱列壁工法において、「レオフローA-1000」を添加すれば、注入するセメントスラリー量(水量)の低減が可能となり、これにより産業廃棄物(発生土)の大幅削減が期待できます。この効果により、工事費用の低減をはじめ、処分場の延命という社会的要請にも応えることができます。
性能
1.ソイルセメントの流動性を大きく向上させます。
レオフローは、土やセメントの粒子表面に吸着することで粒子間に電気的反発を与え、水への分散を高める効果があります。そのため、一般的には粘性の高い粘土 / シルト分を多く含むソイルセメントに対しても流動性を向上させます。また、土、セメント、水を均一に混合できるため、強度低下の原因となる不撹乱土を低減するとともに、ソイルセメント中のセメント分布がより均一になり、壁品質の向上が図れます。
2.施工性を向上させます。
レオフローの分散作用により、ソイルセメントの流動性が向上し、施工性が大きく向上します。適用施工例を以下に示します。
①構造材料(H形鋼)の建て込み性向上
ソイルセメント柱列壁工法等のように削孔後にH形鋼等を埋設する場合、ソイルセメントの流動性が低下していると、建て込み性が悪化する場合があります。レオフローを添加すれば、ソイルセメントの流動性向上効果と不撹乱土の減少により、H形鋼の建て込み性が向上し、施工性を大きく改善できます。特に、住宅地等近隣への騒音配慮から、H形鋼の強制挿入ができない場合に好適です。
②ポンプ圧送性の改善
現場が狭く残土をモービル車で吸引する場合やサンドポンプで移送する場合、一旦発生した残土をセメントなどの固化材と混練し、埋め戻し等に利用する場合には、ソイルセメントの流動性が低下していると、作業性が悪化する場合があります。レオフローを添加すれば、ソイルセメントの流動性向上により、ポンプ圧送性や打ち込み性を改善します。
③撹拌翼の洗浄性向上
ソイルセメント柱列壁工法では、1セット毎に、大量の水を使用して撹拌翼の洗浄を行います。レオフローを用いると、洗浄の困難な不撹乱土が減少するため洗浄が容易となり、使用する水量の削減が図れます。
3.発生土量を削減することが可能です。
①残土削減の概念
注入量80%の通常施工を例に挙げ、レオフローを用いた発生土量の削減について下図を用いて解説します。削孔対象土5m3に対して、80%(4m3)のセメントスラリーを混合すると、およそ9m3のソイルセメントが造成されます。そのうち、5m3をSMWとして使用すれば、残った4m3が発生残土として産業廃棄物処理する必要が生じます。すなわち、使用したセメントミルクと発生残土の体積はほぼ同等であり、発生残土を削減するにはセメントスラリーの注入量を削減する必要があります。
レオフローを用いた場合、その流動化効果により水量が少なくなっても同等の施工性を維持して施工が可能になるため、平均でセメントミルクを20%程度削減することが可能になります。また、レオフローの費用増加とセメントミルクと残土処理が費用減少のバランスによりコストダウンも可能になります(ソイルセメント配合および残土処理費に左右されますので、詳しくはお問い合わせ下さい)。
基本施工 | |
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残土削減施工 (レオフロー添加) |
②現場適用例(各地域での代表例)
性状
外観 | 淡黄色透明液体(水溶液) |
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主成分 | ポリカルボン酸系高分子水溶液 |
有効成分 | 40% |
比重(25℃) | 1.30 |
粘度(mPa・s) | 250 |
pH(原液/25℃) | 8.3 |
用途
1.地盤改良工法
- ソイルセメント柱列壁工法
- TRD工法
- 各種機械攪拌工法
- 高圧噴射工法
- 推進工法
- 深層混合工法
2.建設発生土の再利用
- 埋め戻し、裏込め
- シールド工法(インバート)
3.その他土質の流動性付与
推進工法 掘削助剤の施工試験結果
レオフローA-1000は、シルト・粘性土に対する分散効果が高いため、SMW工法のみならず、推進工法にも適用することが可能で、施工例を示します。
1.施工試験概要
- 施工現場 : 岡山県T埋設工事
- 日時 : 2000年6月
2.試験条件
薬剤添加前の状況
先端ビットを砂礫用にして掘進をおこなっていたところ、、玉石混じり砂礫の部分では15mm/分であっていたが、途中から粘土層に到達したところ、速度が0~2mm/分と著しく低下していた。
薬剤添加条件
- 添加量 : 切羽送泥水に対して0.1 vol%
- 添加方法 : 泥水処理装置の沈殿槽に所定量を添加
3.試験結果
分散剤無添加 | レオフロー添加 | |
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薬剤添加量 | - | 0.10%(対切羽送泥水) |
施工時間 | 9:00~13:00(4時間) | 13:00~15:00(2時間) |
推進速度 | 0~2mm/分 | 13mm/分 |
排泥量 |
レオフローA-1000の添加により、掘進が困難であった粘土層において、飛躍的に掘削性が向上し、推進速度が大幅に増加し(約6~10倍)、砂礫層の場合とほぼ同等となった。このことは、泥水処理装置から排出される処理土量からも裏付けられた。レオフローは切羽送水によりマシンヘッドに送られ、カッター近傍の粘土粒子表面に作用(吸着)し、粘土をばらばらにほぐす(解泥)機能を有する。この機能により、切削性が向上するとともに、カッターへの粘土付着も抑制し、全体の施工速度が向上したものと推定される。
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