高導電性カーボンブラック

リチウムイオン二次電池(LIB)は電気自動車や再生エネルギーの蓄電など、脱炭素社会の実現のために需要が高まっていくことが予測されています。ケッチェンブラックはLIBの高容量化や高出力化を実現する導電剤として、電気自動車の普及促進を通じてCO2削減に貢献します。
電極は活物質(リチウム(Li)イオンを取込む/放出する役割)、導電剤(電子の伝導を助ける役割)、バインダーから構成されます。LIBの高容量化には、活物質を多く詰め込む必要があるため、導電剤の低減や電極の高密度化が行われています。ケッチェンブラックはこうした電極組成や電極構造の変化に伴う性能低下を抑制することで、電池の高容量化を実現します。

特徴1:高い導電パス形成力

ケッチェンブラックは多孔質であるために、単位重量あたりの粒子個数を多くすることができます。導電剤量を1%程度に低減しても電極内で容易に導電パスを形成することができるため、低い電池抵抗と高いレート特性を得ることができます(図1)。

図1.直流抵抗とレート特性(組成:NMC/CB/PVDF=97/1/2)

特徴2:高い保液性

電池の中に活物質を多く詰め込むための施策として電極の高密度化も進んでいます。高密度電極では電極内部に電解液が浸透しにくいため、Liイオンの移動が制限され、電池性能が低下します。ケッチェンブラックは多孔質であるため、電解液の高い吸収力を有しています。そのため、電極内部への電解液の浸透とLiイオンの移動を助け、電池性能の低下を抑制します(図2)。

図2.2C放電容量に対する電極密度の影響
(正極:NMC/600JD/PVDF=97/1/2,NMC/導電カーボン/PVDF=94/3/3)