ゴム表面改質技術 防着剤
はじめに
ゴム精錬工程の段階で未加硫ゴムを重ね合わせてストックする際にゴム同士が密着しないようにする薬剤に防着剤があります。
防着剤には疎水ゴム表面に界面活性剤を用いて無機粉体等の防着成分を均一に付着させる技術が求められます。
以下にゴム表面の改質技術について説明します。
防着剤処理工程
処理液は防着剤を水に分散溶解する事で得られ、ロール出しされたゴムに浸漬処理されます。
浸漬処理後のゴム表面状態
防着剤に含まれる界面活性剤の種類や濃度、ゴム種により処理表面状態は異なり、いかに中央の写真の様に均一付着させるかが重要な課題であります。
濡れの動的挙動
処理液がゴム表面に濡れる時の濡れ先端の拡散イメージを図で示します。
新気液表面に活性剤が早く吸着する事が均一付着に有効と推測。
この濡れ先端部への活性剤の吸着速度を評価する指標である動的表面張力に着目し、最大泡圧法を用い、各種界面活性剤の時間と共に変化する表面張力の測定を行った。
吸着速度の異なる界面活性剤を用いゴム表面の付着性を5段階評価で行った。
吸着速度と付着性の関係をプロットした所、両者には一定の相関関係が認められた。
防着剤の開発において、均一に付着させる為の界面活性剤の選定はこれまで平衡状態で測定した表面張力を指標としてきたが、この技術により同じ表面張力でも吸着速度の高い活性剤がゴムへの付着に大変有効である事がわかった。
この技術は粉末型防着剤に限らず、ポリマー防着剤など様々なタイプの防着剤に応用されています。
参考文献
1) 金子行裕 第5章 界面活性剤 ぬれ技術ハンドブック;テクノシステム:東京,2001;pp221
2) 田嶋和夫 界面活性剤評価・試験法;日本油化学会:東京,2002;pp160