ポリマー設計技術 背面剥離剤

アルキルペンダント型ポリマー膜の分子配向と剥離力

1.技術的特長

包装など様々な分野で使用されている粘着テープの背面には、主にアルキルペンダント型ポリマーがコーティングされています。このポリマー膜により、粘着剤の性能を落とさずに接着力を低減させ(図1)、ロールから引き出す力を容易にすることから、テープに不可欠な材料です。アルキルペンダント型ポリマーは、溶液の塗布・乾燥のみで、アルキル側鎖のパッキング性(図2)・最表面のメチル基配向性(図3)により、容易に低表面自由エネルギーの膜を形成させることができます。

図1.剥離力と表面自由エネルギー

図2.ポリマー膜のXRD解析

図3.ポリマー膜のSFGスペクトル

2.性能的特長

アルキルペンダント型ポリマーは、紙・フィルムに剥離性を容易に付与でき、また重ね貼り、筆記性(油性ペン)に優れるため(表1)、主に包装用テープの剥離剤として使用されています。

表1.アルキルペンダント型ポリマーとシリコーン系ポリマーの比較
アルキルペンダント型ポリマー シリコーン系
剥離性
印刷適性、筆記性 △~×
重ね貼り性
高温キュア 不要 必要

参考文献

1) 川上、「アルキルペンダント型ポリマー膜の分子配向と剥離力の相関」、第63回高分子討論会
2) Fumiya Mori et al.: International Journal of Adhesion and Adhesives, 82, 166-172(2018)