プロジェクトストーリー
エコタイヤ用 シリカ分散剤開発ストーリー
ゴムの評価技術×界面活性剤シーズで
エコタイヤ向けの機能添加剤を開発
OUTLINE
- 技術背景
今や、タイヤ市場ではスタンダードとなった低燃費タイヤ。車が走るときにタイヤが地面とこすれる力(転がり抵抗)を少なくして、燃費を向上させることができるため”エコタイヤ”とも呼ばれているが、実は性能向上のカギとなるのがシリカの高配合、高分散である。当社の顧客であったあるタイヤメーカーは、この課題をクリアするための技術を求めていた。
- ミッション
「タイヤの性能そのものを向上させる”機能添加剤”をつくり、新しい技術分野へ参入したい!」、そんな思いから始まったこのプロジェクト。長年培ってきた界面活性剤の知見や技術、そして、粉体技術を活かし、タイヤメーカーの次世代エコタイヤに新価値を届ける挑戦が幕を開けた。
MEMBER PROFILE
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KA
プロジェクトリーダー
- #新任管理職
- #研究開発
-
SA
研究員
- #研究開発
- #ゴム評価技術
- #立ち上げメンバー
-
KO
元研究員
- #当時入社3年目
- #プロジェクト初参加
- #ゴム評価技術
- #現在営業職
-
KI
営業
- #ベテラン営業マン
- #ビジネス拡大挑戦
-
IN
SCM (サプライチェーンマネジメント)
- #購買
何もかもゼロベースからの出発
エコタイヤゴム用の”機能添加剤の開発”が始動
何もかもゼロベースからの出発
エコタイヤゴム用の”機能添加剤の開発”が始動
当社は、タイヤ工場で使用される工程薬剤”防着剤”で国内シェアNo.1であり、これまでタイヤメーカーと強固な関係を築いてきた。当時の研究所長であったI氏は、工程薬剤に留まらず、タイヤそのものに新価値を提供できるテーマはないか模索していた。そこで招集されたのが、当時ポリマー開発を率いていたKAと、樹脂混練技術に精通するSAである。
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KA
四日市工場で製造している界面活性剤のシーズを活用して、タイヤの中に配合する機能添加剤に参入したい、が当社の狙いでしたね。
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SA
ちょうど、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズが3社統合して発足する頃で、3社のシナジーが出せるテーマだったんですよね。そのころエコタイヤ市場が拡大中で、タイヤメーカー側もゴム中のシリカ分散について新しい技術を求めていたので良いタイミングでした。とはいえタイヤ用ゴムを練ったこともなかったですし、加硫ゴムの評価方法も分からず知識ゼロからだったので、最初は大変でしたよね。
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KA
練り方や評価技術を蓄積しながら進めていったので、相性のよい界面活性剤を見つける作業を2-3年はやっていましたね。タイヤトレッド部分のゴム練りは、シランカップリング剤を配合し化学反応を進行させながら行うので、練り作業だけでも習得が大変でした。
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SA
とはいえ”研究は何か新しいことをやらないと!別に失敗してもいいぞ!”と研究所長が常に守ってくれたので、開発を進めることに怖さはなかったです。実は、検討がうまくいかずにチーム内で喧嘩になった時もあるんですよ。みんなが分からないなりに本気で開発に取り組んでいたからだと思うし、今となってはいい思い出です。笑
若手研究員の挑戦
他部所と連携して製品化まで走りきる!
レオディスパーSPの誕生
若手研究員の挑戦
他部所と連携して製品化まで走りきる!
レオディスパーSPの誕生
機能添加剤として有用と思われる界面活性剤をベースに、タイヤメーカーへの提案活動が本格化した。採用まで一筋縄ではいかず、営業担当のKIは粘り強くタイヤメーカーへのアプローチを行う。この頃、開発チームに加わったのが、若手研究員のKOである。
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KO
私は入社してから主に探索研究を担当していたので、製品化に関わるのは初挑戦でした。提案が最初はうまくハマらなかったので、ゴム中でのシリカの分散性に着目したデータをあの手この手で検討し、都度提案していたかと。
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KI
ほんとに研究の皆さんが粘り強くて、「仮にこういう配合・練り条件でやれば、良くなるんじゃないですか」と、毎回データで提案してくれていました。そこで私も頑張らなきゃと、担当のタイヤメーカーへ毎月訪問してコミュニケーションをとりました。
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KA
この頃は正念場でした。周囲からはいつまでやってるんだろう?と思われていましたが、チームみなで踏ん張って検討を続けたよね。
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KO
はい。なので、採用が決まったときは嬉しかったですね。そこからは界面活性剤の粉体化や、包材検討をスピード感持って、生産技術部、SCM(購買・調達)と連携しながら製品化までもっていきました。
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IN
実は、SCMとしてもこの製品化は、工場の制約条件や調達するフィラーの供給面で初めてのことが多く、調達先との調整を含めて苦労の連続でしたね。手探りで進めていった案件だったので、私自身、この仕事で得たことが多く、今の業務の土台になっていると感じています。
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KO
みなさんのフォローで駆け抜けることができましたね。開発して終わりじゃなく、コスト面、供給面、製造性など研究開発の段階で、意識しなければいけないことが身に染みて分かりました。
この挑戦は
キャリアを考えるキッカケをくれた
この挑戦は
キャリアを考えるキッカケをくれた
長年の苦労が実を結び、ようやく製品化まで漕ぎつけた”レオディスパーSP”。 この開発に携わったメンバーには、どんな気づきがあったのだろうか。
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KO
レオディスパーSPの製品化を経験し、自分は今後どんなことに挑戦したいだろう、とふと考えたとき”海外に関わるに仕事にチャレンジしたい”と思ったんです。そこで、時期尚早でしたがタイヤ用機能添加剤の海外展開をテーマに、ライオングループの主催する「グローバル研修プログラム」にエントリーしました。この研修に参加したことで、今後のキャリアの方向性が見えてきました。今は、研究ではなく営業の立場で当社製品を海外へ展開する仕事に挑戦中です。
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KA
なかなか採用に繋がらない中、わたしの上長が粘り強く辛抱強く、続けさせてくれたのは大きかったと思いますね。研究開発の中で一番大切なことを学べた気がします。
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※グローバル学習プログラム:問題解決、異文化理解、外国語学習等の研修や海外現地視察のカリキュラムを通じて、優れた専門性を基盤に、グローバルで活躍できる人材を育成するプログラム。
”レオディスパーSP”の展望
KI
SDGsが叫ばれる昨今において、タイヤの低燃費化ニーズはさらに高まっていきます。この社会要求にこたえるため、私たちはさらに”レオディスパーSP”の顧客の幅を拡げ、低燃費タイヤの普及を通じて社会貢献していきたいです。
実はレオディスパーは、社内公募でつけた製品名です。英語の「disperse」には「分散させる」の意味の他に「広める」「普及させる」といった意味もありますので、研究所の総力を結集し開発したレオディスパーの普及を目指して、事業部一丸となりこれからも営業活動していきます。
