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プロジェクトストーリー

ケッチェンブラック(KB)のご紹介
ケッチェンブラック(KB)とは?

KBは、カーボンブラック(CB)と呼ばれる炭素素材の一種で、いわゆる「煤(すす)」を工業的に、高純度で生産した製品です。炭素原子だけでできていますので、ダイヤモンドと同じ組成なのですが、炭素原子同士のつながり方が異なるため電気を通す性質があります。
CBのうち、特に電気を通しやすいものを「導電性CB」と呼びますが、KBは特徴的な構造を有することから他の導電性CBより高い導電性を発揮します。その性能から高導電性を求められる様々な産業領域で活用されています。
樹脂製品を擦った時に静電気を感じたことがあると思いますが、これは樹脂が電気を通しにくいために、電荷が偏り帯電することで発生する現象です。樹脂にKBを練り込む、あるいは塗料に配合して塗布すると、導電性を与えることができ静電気が発生しなくなります。このようにKBは主に「電気を通しにくい素材に導電性を持たせる」目的で使用されます。
何に使われているの?
樹脂に導電性を持たせる用途では、電線、電子部品、自動車部品等があります。分かりやすい例としては、わずかな静電気でも破損してしまう半導体を樹脂製容器の静電気から守る目的で「ICトレー」といった半導体容器にも使用されています。
そして、最近急激に需要が増えているのが、スマートフォンや電気自動車(Electric Vehicle:EV)に搭載されるリチウムイオン電池(Lithium Ion Battery:LIB)用途です。特にEVは温室効果ガスである二酸化炭素の排出を削減できることから、車載用バッテリーとしてのLIBは世界的に需要が増えています。今後さらに拡大するEV用LIBに向けて高性能なKBを提供することで、当社はサステナブル社会実現への貢献を高めていきます。



どこで作っているの?
KBそのものは顆粒状の製品ですが、今後の主流となるLIB用途の要求品質に応えるため、特殊な粉砕加工を施してファインパウダー化しています。この粉砕加工は当社の四日市工場で実施していますが、ナノレベルの“まっ黒い粉”なので取り扱いが非常に困難な製品です。この扱いにくい製品を品質・生産性ともに安定して生産するため、四日市工場には特別な設備を導入し、粉体の粉砕から梱包まですべて自動で行っています。人手に頼らずすべての工程を自動化することによって、僅かな不純物が混入することも許されない、EV用LIBに向けた超高純度な導電材料を実現しています。
こぼれ話…名前の由来は?
ケッチェンブラック(KB)は外国語でKetjenblackと表記しますが、1835年にオランダで硫酸の製造会社を興したゲルハルト・タイルマン・ケッチェンという人物の名前が由来のようです。その後、タイヤ用補強材のカーボンブラックが生産され、後にKBが生まれました。現在でもアムステルダムのノールトという地区の工業団地に、ケッチェンの名前が残っています。