脱墨剤

脱墨剤とは

古紙再生プロセスに添加される洗浄剤の一種です。古紙再生プロセスは、主に、古新聞・古雑誌からインクを剥離する工程(剥離工程)と剥離したインクを泡によって除去する工程(フローテーション工程)から構成されています。脱墨剤は、剥離工程でパルプ繊維とインクとの界面張力を低下させてインク剥離を促進することや、フローテーション工程で適した泡沫(フロス)を形成しパルプスラリーからインクを分離することが主な役割です。

当社の脱墨剤

  • リプトールSシリーズ
  • リプトールSAシリーズほか

脱墨剤の構成

一般的に、高級アルコールにアルキレンオキサイド(AO)を付加した構造をもつ非イオン界面活性剤が主体です。さらに、剥離工程でインク剥離を促進する基材や、フローテーション工程でインクを凝集したり気泡-インク間の相互作用を向上させたり、フロス量を調節したりする基材が含まれる場合もあります。
主体の高級アルコールAO付加体は、非イオン界面活性剤ですので温度の影響を受けます。例えば、図1のように曇点付近の40℃と、曇点を超えた55℃で動的表面張力を測定すると、全く異なるカーブを描きます。この違いは発泡性などに影響します。ただし、実際には、脱墨剤中の他成分や原料古紙、プロセス条件などの影響もあり、とても複雑な現象となります。

脱墨剤の選び方のコツ

脱墨剤の選定において最も着目すべき工程はフローテーション工程です。フローテーション工程は剥離したインクを気泡に付着し浮上させ、浮上した気泡により形成されたフロスによりインクを系外へ分離する複雑なプロセスであり、様々な因子の影響を受けます。特に、"発泡性"は、原料古紙、フローテーター機種、白水循環、温度、pH・・・etcに大きく影響されるため、まずはこの"発泡性"で脱墨剤を選定し、安定操業につなげることをお奨めします。
雑誌古紙を原料とする場合やG / L(Gas / Liquid比)の大きい高発泡型のフローテーターを使用している場合、過剰量のフロスが発生し操業悪化や歩留低下のリスクがあります。そこで、低発泡タイプの脱墨剤を使用し、フロス量をコントロールしてリスクを軽減します。逆に、G / Lの小さい低発泡型のフローテーターを使用している場合や、フローテーション工程の固形分濃度が高い場合などは、十分なフロス量が得られず目標のDIP(再生パルプ)品質が得られないリスクがあります。その場合には、高発泡タイプの脱墨剤を使用することをお奨めします。

表) 主なライオン脱墨剤の発泡性による分類

論文発表

  • 山崎,吉田,金谷,角井,紙パ技協紙,「環境にやさしい脱墨剤の開発」,58,4 (2004)
  • 迎,江川,二階堂,山崎,紙パ技協紙,「劣化古紙の脱墨について」,56,4 (2002)
  • 江川,二階堂,迎,山崎,紙パ技協紙,「雑誌古紙の脱墨について」,54,4 (2000)
  • 江川,紙パ技協紙,「リサイクル禁忌品の脱墨について-カーボンペーパーの脱墨の可能性-」,53,6 (1999)
  • 正水,江川,萩原,浮海,紙パ技協紙,「フローテーション法脱墨剤の開発 第3報 OA古紙脱墨に関する脱墨剤の構造と性能」,50,10 (1996)
  • 正水,江川,萩原,浮海,紙パ技協紙,「フローテーション法脱墨剤の開発(第2報)高級アルコール系脱墨剤の構造と性能」,49,9 (1995)
  • 正水,田井,萩原,浮海,紙パ技協紙,「フローテーション法脱墨剤の開発-脱墨機構に関する考察-」,48,10 (1994)
  • 石崎,萩原,田井,紙パ技協紙,「化学工学的アプローチによる新規脱墨剤の開発」,46,1 (1992)